賃貸と持ち家は最終的にどちらが有利なのか、永遠のテーマです。

なかなか答えが出ないのは、特に費用面で比較をするときに、

購入の場合、頭金、金利、借入期間、物件価格、売却価格など様々な要因が入るので賃貸と単純な比較が難しいからです。

 

最初から賃貸が有利、持ち家が有利という結論があって数字を作ってしまえば、

どうとでもリますますからね。

 

あなたのライフスタイルに合わせて選択するのが一番です。

なにも一生賃貸、家を購入したらそこが終の棲家、という風に決めなく大丈夫です。

 

例えば、

・20代で家を購入→子どもが独立したら売却→夫婦2人暮らしのための家を購入

・子どもが独立するまでは賃貸→独立したら夫婦2人用の物件を購入

など、選択はライフスタイルにより自由です。

 

ただ、賃貸でも持ち家でも大事になるのは貯蓄力です。

様々なリスクに対応することができます。いざというときの現金パワーはすさまじいです。

世の中の9割の問題はお金で解決できると言われるのもウソではないような気がします。

 

賃貸と持ち家、どちらがいいのか?

私の個人的な考えは、最終的には購入する方が有利なので、

無理なく買えるなら持ち家の方が良い選択だと思います。

 

では、以下の4つの視点から賃貸と持ち家を比較してみましょう。

 

 

一生涯の住居費

生活しているかぎり、賃貸にしても、家を買うにしてもどこかに住まなければいけません。

一生でいくらぐらいのお金がお家にかかるのか計算してみましょう。

 

購入する住宅の条件は以下の通りとします。

・期間は50年

・金利は35年固定で1.3%

・面積は60~70㎡、3LDK

・築10年程度

・価格は5,000万円(墨田区のマンションを想定しています)

→総返済額:62,260,997円

※マンションは適切な管理を行えば100年はもつと言われています。ただ、現状で築100年のマンションはありません。ただ、築60年のマンションでも売買事例があるので、築10年の物件に50年間住むことが可能と考えて条件を設定しました。

 

・購入諸費用 購入価格の7%程度:3,500,000円

・固定資産税、都市計画税:4,414,001円(参考:HOMES住まいインデックス)

・管理費、修繕積立金:15,582,000円(月25,970円を50年)

・修繕一時負担金:1,500,000円

・リフォーム費用:6,000,000円

(30年後に水回りや設備等をリフォーム)

・住宅ローン控除:-3,020,000円(参考:SUUMO住宅ローン控除早見表)

 

費用合計:90,236,998円

 

賃貸の場合、ライフステージによって引越しをすることも考えて条件を設定します。

よく、家賃を一律で計算する方法がありますが、比較的事由に引越できるのが賃貸のメリットなので、引越をすることを想定しています。

エリアは墨田区で平均的な家賃を想定しています。

 

1~5年:子どはまだ、または幼少期

・面積40~50㎡

・家賃:150,000円

・初回仲介手数料、敷金1、礼金1

・更新2回

・引越費用:家賃1ヵ月分を想定

費用合計:9,900,000円

 

5~20年:子どもが独立するまで

・面積60~70㎡

・家賃:180,000円

・初回仲介手数料、敷金1、礼金1

・更新7回

・引越費用:家賃1か月分を想定

費用合計:34,380,000円

 

20~50年:子どもが独立し、夫婦2人での生活

・面積40~50㎡

・家賃:120,000円(収入が減ることを想定して安い物件を選ぶことを想定しました)

・初回仲介手数料×2、敷金2、礼金2

・引越1回を想定:家賃1か月分を想定

・更新14回

費用合計:45,720,000円

 

賃貸の場合、50年間でかかる費用は90,000,000円となります。

 

50年間住むと賃貸より持ち家の方が236,998円多くお金がかかります。

これはあくまで一部の計算例です。

持ち家の場合、最後に築60年のマンションが売れれば賃貸よりも費用面は有利となります。

 

築60年のマンションが売れるのか?という質問をされそうですね。

立地さえ良ければ売れます。

墨田区に於いても1968年築(2020年現在築52年)のマンションが850万円の成約事例を確認することができます。

 

50年間で住宅にかかる費用は賃貸でも持ち家でもそこまで大きな違いはありません。

 

では、次にキッチン、風呂等の設備、壁・床・窓等の住居のグレードで比較してみます。

住居のグレード

賃貸用の住宅は利益を出すことを優先しているので、必要最低限の設備を導入していることが多いです。

分譲住宅の方がグレードが高いです。

 

具体的には

 

窓のサッシは性能が低いと断熱効果も低くなるので、

夏には暑くなりやすいく、冬は寒いので光熱費が高くなります。

 

お風呂は賃貸住宅だと1216(1.2m×1.6m)が主な仕様ですが、

分譲だと一回り広い1418(1.4m×1.8m)が主な仕様です。

 

収納については、賃貸の場合は居住スペースを広めに見せるために少なめに、

分譲なら収納はしっかりといった傾向があります。

 

住宅の住み心地において大事になってくる設備は持ち家の方が良くなります。

賃貸住宅でも分譲タイプがありますが、分譲タイプは家賃が高くなります。

 

リスク

生きている限り高齢化と予期せず生命保険が発生するリスクは必ずあります。

 

賃貸と持ち家でこのリスクにどうやって対応すればいいのでしょうか?

 

持ち家の場合、高齢になっても自分の家なので住み続けることができます。

また、ほとんどが団体信用生命保険に加入するので予期せぬ事態になったとしても

住宅ローンはその時点で完済扱いになり、残された家族も安心して暮らすことができます。

 

一方、賃貸の場合はどうでしょうか。

生命保険に加入していれば、万が一の時もまとまったお金が入るので、

このリスクには対応することができます。

 

高齢化リスクは賃貸で対応するにはかなり難しいのが現状です。

都内でも空き家が増えています。(空き家率13.6%)

空き家があるから高齢者でも賃貸住宅を探しやすいのでは?

と思われがちですが、実は難しいです。

 

墨田区は高齢者向け住宅補助制度があり、都内でもトップクラスです。

 

にもかかわらず、空き物件に問い合わせると高齢者はお断りされることが多いです。

経験上、高齢者OKの物件は築年数が古く、設備も低レベルの物件が多いように感じます。

 

一生賃貸派ならば、高齢になってからの住宅確保をどうするか早めに決めておく必要があります。

いまの時代は核家族化がすすんでいるので子どもと一緒に暮らすことは想像しにくいですよね。

なら自分たちだけの住宅を用意する必要があります。

 

50~60代で借りた家にずっと住めばいいのでは?

と思うかもしれませんが、

収入が落ちて年金生活になったとしても家賃はずっと発生します。

現役時代の家賃を年金と貯金だけで払い続けられるか不安がありますね。

また、今の現役世代がもらえる年金もどこまでもらえるか保証されていないのも心配です。

 

一般的な住宅の賃貸借契約は定期借家での契約なので2年毎の更新があります。

高齢を理由に更新を断られることも考えられます。

古い住宅なら解体するので更新を断られることもよく聞きます。

 

リスクに対応するためには賃貸でも持ち家でもとりあえず貯金をすることをおすすめします。いざというときに頼れるのは現金です。

 

もちろんすべて現金で所持するのは危険です。

なぜかというと現金は年々価値が落ちていくものだからです。

 

貯金は大事ですが、ある一定以上貯まったら投資に回すことをおすすめします。

 

税制・政策

日本は住宅購入を促進するという景気対策を何十年と行っています。

 

家を購入すると、

 

・工事が発生する

・税金が発生する

・家具家電など住宅に関係する需要が増える

 

といった経済効果が大きいですから。

 

税金についても住宅購入には特別な制度があります。

 

・不動産取得税

・登録免許税

・所得税(住宅ローン減税)

・固定資産税、都市計画税

 

これらすべての税金について軽減されます。

もちろん個人が住宅を購入した場合です。

税金についてはこちらの記事にまとめてありますので参考にしてください。

不動産に関する税金まとめ

 

これだけ手厚い政策をみると、

どれだけ国が住宅を買ってもらいたいかがわかりますね。

まとめ

以上の1~4の観点から賃貸と持ち家を比較してみてどのように考えますか?

 

一生賃貸でもいいし、最初から購入してもいいし、ある程度の年齢になったら購入する。

すべて自由です。

借りるか買うか選択肢を2択に狭めることなく考えていきましょう。

大事なのは、選択ではなく、そこに暮らして幸せになることなのだ思います。

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